1.PCB分解(実証)試験

試験条件

ⅰ)対象物 廃PCB (PCB 濃度が60重量%、重油相当の混入油類が40重量%)
ⅱ)燃料 40重量%の混入油類に、15容積%の還元水を添加してエマルジョン化
ⅲ)燃料温度 70 ℃に加熱して、(液状炭化水素+)還元水を混合
ⅳ)試験装置
高温焼却装置(燃焼式PCB還元分解炉)
メインバーナー 廃PCB+(液状炭化水素+)還元水によるエマルジョン燃料(100kg/h)を燃焼
第1混合バーナー 重油を燃焼(A、B各々が3kg/h)
第2混合バーナー 同上
ⅴ)測温装置 炉内・炉出口:熱電対(山里産業製B型)
ⅵ)オフガス吸引分析装置 等速吸引装置、バブリング吸収装置、有機炭素分析、HCl分析
ⅶ)測定日 2000年11月
ⅷ)測定場所 新利根研究所(稲敷市)

試験結果

ⅰ)処理速度 廃PCB 100 kg/h  (連続運転で2.4t/d)
ⅱ)PCB分解効率 99.999999%(8-ナイン)以上
ⅲ)試験装置
高温混合部 1630℃
絞り部出口 1520℃
炉出口 1450℃
ⅳ)通過風量 1034 Nm3/h
ⅴ)平均滞留時間 約2.9秒

試験装置の説明 (表1、表2、図1 を参照)

ⅰ) ここでは廃PCB のPCB 濃度が60重量% 、混入油類が40重量%の重油相当油の場合を例として説明する。
ⅱ) 液体PCB を均一に微粒子化し、炉内全体を均一な高温とするために、本装置はメインバーナー と、第1混合バーナーと、炉内の衝突と絞りによる十分な乱流拡散と完全混合構造を持つ。さらに第2混合バーナー による2次燃焼ゾーンを含めた十分な炉内滞留時間を得て、PCB を完全に焼却させる。
ⅲ) さらに、表面張力が極度に小さい還元水の使用で、水の超微粒子が炉内に広域拡散する結果、燃焼室温度の均一化がもたらされ、分解、燃焼速度の遅いPCB でも完全分解、燃焼が達成される。
ⅳ) 廃PCBは、炉外のラインミキサーで還元水と混合され、メインバーナーのバーナー内管に導入される。この場合、廃PCBによっては70 ℃ に加熱して粘度を下げ、還元水によるエマルジョン化をしやすくする必要がある。
ⅴ) 廃PCBが相当量の液状炭化水素をすでに含んでいる場合は、新たな液状炭化水素を混合する必要はなく、5 ~ 2 0 % の還元水を直接廃PCBに混合する。
ⅵ) 混入油の発熱量は6000 Kcal/kg 、重油相当(85%C、15%H)である場合は、PCB より燃焼速度の速い重油分が既に40 % あるため新たに液体炭化水素(燃料)は添加しない。
ⅶ) ガス排出口から流出したガスは、ダイオキシンの再合成を避けるため、冷却水クエンチで200℃ 以下まで急降温させ、排ガス中塩化水素分をアルカリ洗浄で洗浄後、大気に排出される。

表1 実施例の炉大体の大きさ

炉本体の外径(ジャケット部分を除く) 2. 0m
内張断熱材の厚みが250mmの場合の炉本体の実質内径 1. 5m
炉上部及び下部の実高さ(上下蓋部内部を除く) 1. 5m

表2 炉上部及ぴ下部の実体積、平均流速、平均滞留時間

体積(m3) 流速(m/s) 滞留時間(sec)
第1燃焼室 2.7 1.0 1.5
第2燃焼室 2.7 1.1 1.4

2.ダイオキシン分解試験

試験条件(例)

ⅰ)対象物 都市ごみ焼却飛灰 (塩素成分を含む)
ⅱ)試験装置 溶融試験装置
NK-100型表面溶融炉、エマルジョン燃料バーナー、エマルジョン燃料供給装置
ⅲ)燃料 A重油:水道水 = 85:15のエマルジョン燃料
ⅳ)測温装置 山里産業製 THERMOCOUPLE B熱電対(+脚Pt‧Rh30% -脚Pt‧Rh6%)
シングルエレメント 素線径φ0.5 JIS CLASS 3 (対象温度:~1700℃
ⅴ)測定日 2013年3月7日
ⅵ)測定場所 日本環境保全(株)新利根研究所
ⅶ)測定位置 排ガス(煙突)

ダイオキシン分解試験結果

ⅰ)予想される炉内温度 1370℃~1450℃
ⅱ)排ガス量 湿り 1590 m3N/h
乾き 1490 m3N/h
ⅲ)排ガス温度 65℃
ⅳ)排ガス組成 水分量 約6.5 %
酸素濃度 平均15.5 %
二酸化炭素濃度 平均3.8 %
一酸化炭素濃度 平均4 ppm
ⅴ)ダイオキシン類毒性等量* 0.014 ng-TEQ/m3 (0℃,101.325 kPa)
内訳 Total PCDDs 0.0051 ng-TEQ/m3
Total PCDFs 0.0065 ng-TEQ/m3
Total Coplanar PCB 0.0019 ng-TEQ/m3

*分析の方法:JIS K 0311

ダイオキシン分解試験に使用した溶融試験装置はこちら

計量結果の詳細はこちら